- 10月01日
「伝える力を磨けば、人生が変わる。」 ヴォイス群青舎 田代 純さん #120の住人
120 WORKPLACE KOBEの気になる会員様を紹介する「#120の住人」
今回はフリーアナウンサーとしてご活躍されている、ヴォイス群青舎 田代 純さんにお話を伺いました。
【プロフィール】
元NHKアナウンサー。33年間の活動の中でサッカーワールドカップ5大会やオリンピック、甲子園決勝の実況、神戸局・大津局キャスター、ラジオ深夜便アンカー等を担当。
2023年9月に独立し、現在はフリーアナウンサー・トークコンサルタントとして活動中。
ーーフリーアナウンサーとして活動をスタートされてから約1年ですね。どんな1年でしたか?
本当に楽しかったです。例えるなら、大海原に漕ぎ出すような感覚ですね。長くマスコミにいたので世間のことは割と知っていると思っていましたが、フリーランスになってみて、自分が知っていたのは5%ほどだったのかなと感じています。知らない世界がまだまだたくさんあることを実感しています。
ーー新しい環境での出会いもありましたか?
この1年で新たに約400人ほどの個人事業主や経営者の方とお会いしましたが、言葉や生き方がポジティブな方が多く、刺激を受けました。
そうしていろんな方に会う中で、会話やコミュニケーションのスキルアップに対するニーズが多いことを実感しました。アナウンサー業以外にも、人前で話すのが苦手な方やプレゼンテーションに自信がない方の「伝え方を磨きたい」というニーズにお応えしたいと思い、現在は「トークコンサルタント」としても活動しています。学生さんや企業への研修などを通じて、参加者が自分の言葉で伝えられるようになるためのサポートをしています。
▲神戸リアルターズクラブにて講演
ーー田代さんは「伝えるプロ」として活躍されていますが、元々おしゃべりは得意だったんですか?
実は昔は苦手だったんです。高校時代の友人と会うと「アナウンサーになったの?!」とよく驚かれました。
その後 大学進学で北海道に移り住んだのですが、物静かなタイプの友人が多かったので、自然と私が進んで話すようになりました。あとは演劇の経験も大きいですね。決められたセリフを元に会話を繰り返すことで、話すことに慣れたんだと思います。NHKに入局してからも、上手い人のコミュニケーション技術をよく見て、マネて、習得するように心がけていました。
ーー田代さんにもそんな時代があったんですね。「伝えること」において大切なポイントは何だと思われますか?
よく言われるのが「話す」と「伝える」は違うということです。大切なのは「聞き手が何を求めているか」を考えること。わかりやすく伝えるには、自分が何を伝えたいかではなく「相手が何を聞きたいのか」を意識することがポイントです。あくまで聞き手が主役なんですよね。
例えば自己紹介ひとつとっても、単に自分が言いたいことを話すのではなく、相手がわかりやすい言葉や興味のありそうなフレーズを使うことが大切です。「元NHKアナウンサー」「甲子園の実況経験あり」「トークコンサルタント」「朗読講師」…どれも私に関する言葉ですが、どれがその人に刺さるかは相手の興味関心によります。どんな場面でも、聞く人が理解しやすい表現を使うことで、より伝わりやすくなります。
ーー興味が持てないものは記憶に残らないですもんね。
今年の5月にオペラのストーリーテラーを担当したのですが、とにかく伝わりやすい表現にすることを心がけました。元々の台本はクラシックの世界独特の難しい言葉やカタカナが盛りだくさんで、登場人物の名前だけとっても「なんとかリーニ」「なんとかネッロ」など似たような名前ばかり。初めて聴きに来られた方が少しでも理解しやすいように「画家の◯◯」「詩人の◯◯」と職業や設定を付け加えて紹介するようにしました。
ーー相手のことを想像しながら、思いやりをもって丁寧に伝えることが大事なんですね。
とにかく一方的に伝えないこと。会話はキャッチボールですからね。そのためにも「聴くこと」が重要です。相手が何を言いたいのか、何を求めているのかを理解するために、しっかりと耳を傾ける習慣をつけると良いでしょう。
相槌やオウム返しを活用して、話してもらいやすい環境を整えることも大事ですね。相手の音とスピードに合わせることもオススメです。相手がゆっくり話すなら、こちらもゆっくり。それだけで自然と「この人と気が合う」と感じてもらえますよ。
▲高校生対象のコミュニケーション研修
ーー120では今後どんな方と繋がっていきたいですか?
120の皆さんは“擬似同僚”なんです(笑)「おはようございます!」と挨拶を交わしながら、「皆頑張っているな。私も1日頑張ろう!」と思えるんです。さらに仲間を増やしていきたいです。経営者の方も多いと思うので、社内のコミュニケーションに関するお悩みに対してもお役に立てればと思っています。
ーー今後の活動についても聞かせてください。
ご自身のいい声を見つけてもらい、いい会話のきっかけを知ってもらうことで、その方の人生が変わるということを実感しています。そのための手助けをしていきたいです。
インタビュー中も終始にこやかな表情で、お話を聴かせてくださった田代さん。
心地よいコミュニケーションは、そのような細やかな心遣いから生まれるのだと実感しました。
あなたも一緒に「伝える力」磨いてみませんか?
■ヴォイス群青舎
【HP】https://gunjosya.com/
【Instagram】https://www.instagram.com/tashirojun_ana/
※記事の内容は2024年9月取材時の情報に基づいています。