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120 WORKPLACE KOBE

parabum

空を纏っていた翼が、次はあなたの日々を彩る。

-parabum 安國真理子さん

空での役割を終えたパラグライダーを、キャンプや生活の道具へアップサイクルしています。

手元にある生地を活かした一期一会のものづくりを大切にしながら、手にした人が身近な道具の寿命を延ばす工夫をしたり、自由に作る楽しさを感じたりしてほしい。そんな願いを込めて、一つひとつ手作りしています。(生地提供: 丹波パラグライダースクール)

兵庫県内では神戸の「KOBE-ZAC」、夙川の「kizuki」、加古川の「メルとモノサシ」でお取り扱いいただいている他、全国各地の店舗での常設販売、ポップアップ出展なども行っています。

なぜこのブランドを始めたのですか?

学生時代はワンダーフォーゲル部に所属し、山に通う日々。社会人になってからも、神戸のアウトドアメーカーでの勤務などを通して、アウトドアとものづくりの現場に関わってきました。

転機になったのは、友人がパラグライダースクールのスタッフになったこと。遊びに行くうちに、スクールの敷地内に、破れたり古くて使えない機体がいくつかあると知ったことです。

「これで山登りのときに使うポーチを作ったら、絶対いい感じになるよね」と友達と盛り上がり、試しに作ってみることにしたんです。 それまでミシンはほとんど触ったことがなかったんですが、手づくりに慣れている友人が周りにいたので、使い方を教えてもらいながら、まずは2〜3個だけ縫ってみました。

それを自身が運営している「楠公さんの手作り市」で販売してみたら、思ったよりも反応が良くて。
「じゃあ少し違う形も作ってみよう」と、バリエーションを増やしていくうちに、少しずつ広がっていきました。スクールに置いてある機体も「使っていいよ」と言ってもらえたので、気づいたら、だんだんと今のような規模になってきた、という感じです。「家で眠っているパラグライダーがあって、処分に困っている」という個人の方からも、お声がけをいただくこともあります。

parabumは、そんな思い出と素材への敬意と自然への愛情から始まった、やさしいアップサイクルブランドです。

ブランド名の由来を教えてください。

「parabum(パラバム)」の「para」は、パラグライダーの“パラ”から。
「bum」は、京都にあった「SKI BUM」というスキーショップの名前からいただきました。

スキーショップといっても、スキーウェアだけじゃなくて、アパレルや小物のセレクトもすごく素敵だったんですよね。店主の女性は私にとって“お母さん世代”くらいの方なんですけど、仕事のことも、生地や色のセンスのことも、本当にたくさん教えていただきました。

お店が閉店する前には少しアルバイトとしても働かせてもらっていて、自分の中では「原点」と言える場所なんです。 「お店はなくなってしまうけれど、あの空気感や学ばせてもらったことを、どこかで受け継ぎたい」という気持ちがあって、ブランド名にそのエッセンスを入れたいと思いました。

それで、「パラグライダーの“para”と、“SKI BUM”の“BUM”をくっつけて“parabum”という名前にしてもいいですか?」と相談したら、「いいよ」と快く言ってくださって。
そんな経緯があって生まれた、大切な名前です。

制作する中でどんな楽しさ・こだわりがありますか?

パラグライダーの翼の生地って、とにかく軽くて、色がすごくカラフルなんです。
ただ、最初の状態はなかなか大変で。畳まれたまま長いこと置いてあったものも多いので、広げるとシワシワだったり、汚れがついていたり、葉っぱが挟まっていたりします。まずは広げて、汚れを落として、必要なところをカットして……と、地味で手間のかかる作業からスタートです。

でも、手をかけていくうちに、どんどん表情が変わっていくんですよね。もともと機体に入っているステッチやライン、ロゴマークの位置そのものが、すでにデザインとして面白かったりもします。ハギレ同士をパズルみたいに組み合わせて、斜めのラインをそのまま活かしてみたり、バラバラだった生地が一枚の面としてピタッとはまったときは、本当に爽快感があるんですよ。自分がゼロからデザインを描くというより、「もともとあるものの良さを、どう見せるか」を考えている感覚に近いですね。

作りとしては、「軽さ」を活かしたいので、金具やパーツを必要以上につけないようにしています。アウトドアのガレージブランドって、カラビナや金属パーツが付いているものも多くて、それはそれで大好きなんですけど、この生地の良さを活かすなら、できるだけシンプルな構造の方が合っているなと感じています。

parabumのアイテムの魅力は?

一番は「軽さ」ですね。年配の方がポーチを手に取ってくださったときに、「これ、すごく軽いから、お薬やお菓子をいっぱい入れても肩がしんどくならなくていいわ」と言ってくださることが多いです。

パラグライダーの生地なので、撥水性があるのも良いところ。洗面所の周りで少し水がかかってもすぐ乾きますし、アウトドアシーンでも日常でも、どちらでも使いやすい素材だと思っています。

最近は、防災グッズをまとめるポーチとしても相性がいいんじゃないかなと思っていて。エマージェンシーシートや衛生用品、ホイッスルみたいなものを1つにまとめておいて、非常時には、そのポーチごと非常用バッグに入れる、みたいな使い方です。軽いし、水にも強いし、色も派手なので、いざというときに「この赤いの!」とすぐ手に取れる。日常使いしながら、防災アイテムとしても機能してくれると理想だなと感じています。

今後の目標について聞かせてください。

ずっと思っているのは、「山の中で出会えるparabum」にしていきたい、ということです。

都会の雑貨店さんやマルシェで出会ってもらうのもすごく嬉しいんですけど、登山者の方が実際に山に登った先で、「こういう軽いポーチ欲しかってん」と手に取ってもらえるような場所にも置いてもらえたらいいなと思っています。山小屋や、山の麓のアウトドアショップでの取り扱いを、これから少しずつ増やしていきたいです。

もうひとつは、山への還元です。
登山道の整備や環境保全って、どうしてもボランティアの方や山小屋の方の負担に頼っている部分が大きいので、ゆくゆくは「このエリアで販売している商品は、売上の◯%が登山道整備の費用になります」といった形で寄付できる仕組みを作りたいなと考えています。

個人的な夢としては、アトリエ兼ショップ兼作業スペースのような、小さな拠点を持ちたいです。
今は自宅の一角で制作しているので、「都市部で家は広いけど、ここだけ余っているのよね」という場所と、いつかご縁があればいいなと思いながら、日々ミシンを踏んでいます。

神戸出身なので、御影や岡本など東灘エリアへの愛着もあり、神戸方面での取り扱い店舗もこれから増やしていきたいと思っています。「parabum、気になってたよ」という雑貨店さんがいらっしゃったら、ぜひお気軽にご連絡ください!

ご来場いただく方への
メッセージ

ミニポーチ、ツールバッグ、肩掛けのサコッシュ、エコバッグなどをお持ちします。軽い・ 丈夫・ 速乾といった優れた機能性を持つパラグライダーから生まれる一点ものの色合わせを、ぜひ手に取ってお楽しみください。

また、もしご自宅やお知り合いでパラグライダーが眠っている方がいらっしゃったら、お声がけいただけると嬉しいです!