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120 WORKPLACE KOBE

  • 9月21日

「防災をカルチャーに」アコースティックシンガーソングライター 石田裕之さん #120の住人

気になる会員さまを紹介する「120の住人」シリーズ。
今回は、アコースティックシンガーソングライターの石田裕之さんにお話を伺いました。

 

Bloom Works 石田裕之

 

−−まずは、石田さんの活動について教えてください。

神戸を中心にアコースティックシンガーソングライター 石田裕之( http://www.insomnia.co.jp )として活動しています。
ソロアーティストとしてだけではなく、 2017年より神戸発・防災音楽ユニット Bloom Works( https://bloom-works.com )というグループでも活動を始め、昨年 WARNER MUSIC JAPANからメジャーデビューもさせていただきました

また、音楽活動だけではなく、防災士として防災啓発活動、講演活動などもおこなっています。

 

−−“防災”が石田さんの活動と強く結びついているように感じますが、何か今の活動に至るきっかけがあったんでしょうか?

中学校 2 年生の時に神戸で震災を経験したことが大きく根底にあると思います。
幸い神戸といっても僕が住んでいたのは大きな被害があった場所ではなかったんですが、当時は生徒会に入ったばかりの頃で。「今から活動していこう!」という時に震災でしばらく学校が休みになったんです。そんな中で「自分たちでも何かやれることを考えよう。」って先生に声をかけてもらって、街頭募金したり、避難所にいったり、地域の仮設住宅で交流させてもらったりしました。僕にとってボランティアの原点みたいな感じですかね。多感な頃だったんで本当にいろいろと覚えています。

 

−−阪神淡路大震災での経験が石田さんの今の活動の原点なんですね。

ただ、恥ずかしながら「あの震災のことは忘れちゃいかん」っていうのはあったんですけど、当時は「また同じような災害が起こる」っていう事には思い至らなくて。東日本大震災までは、もうああいうショッキングな事はないって勝手に思っちゃってました。
経験したにも関わらず、防災について全然考えていなかったなって後になってすごい反省しましたね。

 

−−東日本大震災は被災された皆さんはもちろんですが、私たちにとっても心が苦しくなる、本当に大きな出来事でしたよね。

そうですね。東日本大震災の直後からずっとボランティア活動をしてきたのですが、そこで防災ってやっぱりすごい大事だってことを再認識したんです。そこから防災士の資格を取ったり、いろんな防災関係の活動に深く関わるようになりました。

 

Bloom Works 石田裕之

 

−−Bloom Worksはどのような流れで結成することになったんですか?

そうやってボランティア活動をしているうちに、いろんな大学関係の方とか支援団体との繋がりが増えてきまして。その中で兵庫県立大学 減災復興政策研究科っていう防災・減災について研究する大学院の先生と懇意にさせていただくようになったんですが、その先生が相方 KAZZさんの担当教員だったんです。

当時KAZZさんはアカペラグループ Permanent Fishのリーダーでしたが、次のキャリアとして防災を学びたいと兵庫県立大学 減災復興政策研究科に入学して学び始めていたところで。KAZZさんがその先生に「音楽と防災というテーマで研究がしたいんです。」って相談したところ、音楽で防災やってる人なら知ってるよって僕のことを紹介してくれたんですよね。

 

−−すごいご縁ですね。

そうですよね。「やりたいことも近いし、一緒に活動していこう!」ということになり、今に至ります。

 

−−Bloom Worksの楽曲は、いわゆる「かしこまった啓発ソング」というより、「耳馴染みが良くてかっこいいポップス」という印象を受けました。曲作りで工夫されていることはありますか?

みんなが親しめる普遍性と、やっぱりどこか心にフックと言うか引っかかる何かが絶対いるなと思っているので、そこのバランスは大事にしたいと思っています。人の命に関わることなので、そのバランスはとても難しいのですが。

災害とか防災とかに関心が薄い人たちにいかに伝えていくか、広げていくかっていうことを考えると、今まで誰もやらなかったようなアプローチっていうのも必要かなと思っているんです。多少波風立ててしまってるところはあるかもしれないですが、新しい表現にトライしていくっていうのも神戸らしいかなと。

なるべくみんなが笑顔になってくれて「キャッチーだね。」「気持ちいいね。」「毎日口ずさんでいるうちに覚えたよ」って言ってもらえるような曲にしたいなと思ってます。だからちょっとユーモラスなラブソングにしてみたりとか、ちょっとシャレがきいた曲が多いですね。

 

−−「A・E・D」はまさにそのユーモラスさを含んだラブソングですよね。

そうですね。これはAED(自動体外式除細動器)という、心臓に電気ショックを与えて正常な動きに戻すための医療機器をテーマに歌った曲です。

非常時にはAEDを1分1秒でも早く使って欲しいんですが、例えば倒れてる相手が若い女性だったらどうしようとか、相手の体を傷つけるんじゃないかと思ったりして、初めての人はなかなか手をだしづらいんですよね。
でも、実は音声ガイダンスでやり方を教えてくれるし、電気ショックを与えるかどうかも機械が判断してくれるから難しくないし、自分が悪いと思うことはないんだよっていうのを知ってほしくて。そのために、恋に奥手な人が思い切って相手にアタックするっていうラブソングに置き換えて作ってみたんです。

 

−−言われてみれば「合図が突然響いて冷静な指示が飛ぶ」とか「手順はガイドしてあげる」とか、まさにAEDについて歌われていますね。

それだけじゃなく、曲のテンポが心臓マッサージのテンポになっているんです。歌の中でも心臓マッサージをするときと同じように「プッシュ!プッシュ!」っていう振り付けをするんですよ。

 

−−すごい!それなら口ずさんでいるうちに覚えられますし、いざという時には思い出して動くこともできそうですね。

こんな風に、防災の知識として知ってほしいけどまだまだ広まっていないなっていう課題に感じることをどう置き換えたら分かりやすく伝えられるだろうということは常々考えています。そういう課題に関するいろんなキーワードを歌に変換して作っている感じです。

 

−−なるほど。雰囲気がまた少し変わりますが、「FAKE」も強いメッセージを感じる楽曲ですね。

「FAKE」は「関東大震災」をテーマとして扱っています。地震と火災で犠牲になった方も10万人ぐらいいらっしゃったんですが、その後でいろんなデマが誠しやかに広まったことで、人が人を殺めるみたいなことしてしまったんですよね。
なので、「災害でパニックになっているときだからこそ、嘘の情報にも気をつけなきゃ」というのを歌にしました。
今ってSNSでより簡単に拡散できちゃうじゃないですか。熊本の地震の時も「ライオンが逃げた」みたいなデマがありましたよね。被害者にならないだけでなく、加害者にもならないように気をつけてねっていう思いも込めています。

 

−−曲作りのためには過去の歴史も含めて、防災に関する知識が必要ですよね。日々勉強していらっしゃるんですか?

はい。防災士向けの講習も受けていますし、防災士会にも所属しています。そこでは、自治会などからの要請を受けて一緒に避難計画を立てたりもしています。あとは、今東京大学で防災の専門家を養成するためのオンライン講座をやってるのでそれも受講したりしています。

 

Bloom Works 石田裕之

 

 

−−アーティストグッズも、とてもBloom Worksらしいラインナップだなと思いました。ぜひご紹介いただけますか?

ありがとうございます。今、身につけているUDEBUEは阪神大震災の教訓からできたアイテムです。シリコンバンドのアクセサリーなんですが、軽く吹くだけで人の耳に最もよく届く周波数の大きな音が鳴ります。防災だけでなく防犯用など様々な用途に使えます。

 

Bloom Works

 

通販大手のフェリシモさんとコラボで「防災リュック」も制作しました。通勤やお出かけなど普段使いしやすい花柄のリュックに、さりげなく防災機能を盛り込んでいます。花柄のデザインには、「もしも災害に遭遇した時、笑顔の花を見失わないでいてほしい」という願いが込められています。

 

Bloom Works 石田裕之

 

あとは六甲山の間伐材を使ってコースターなどのカトラリーも作っています。六甲山も手入れをしないと土砂災害の起きやすい山の形なので、野菜とかと同じように木を間引いてあげる必要があるんです。すると残った木は太く大きくなるし、下草は日が当たりやすくなって、土壌が分厚くなるんですよね。健康な頭皮みたいな(笑)そのおかげで多少のことでは倒れたりしない強い木が育つんですよ。

 

−−どれも日常に溶け込めるような使いやすいものばかりですね。地域の方々とコラボされているのも素敵ですね。

間伐材のグッズもずっとやりたいと思ってたんですが、六甲山の間伐材は扱っているところが限られているから難しいよって言われてたんです。でも、120にいらっしゃる大和出版印刷の藤井さんにご相談したところ、携わっていらっしゃる方をご紹介いただけることになって実現に至りました。
他にお世話になっている皆さんも地元で頑張ってる者同士なので、応援してくださることも多くて、ありがたいですね。

 

−−石田さんからも、とても地元愛を感じます。神戸という場所は石田さんにとって大事な場所ですか?

はい。震災を経験したからこそ今の自分があるので、神戸の人たちに育てられたっていう気持ちがすごくありますね。これからもこの町のために還元していきたいです。

 

Bloom Works 石田裕之

 

 

−−ところで、石田さんはどのようなきっかけで120に?

コロナ禍が始まってすぐくらいの頃、KOBE TVでBloom worksとして防災番組( https://kobetv.jp/search?keywords=BO-SAI )をやらせてもらっていたんです。その打ち合わせなどで何度も120に足を運んでいる中で「ここすごくいいな」と思いまして。アドレスコワーキング会員になれば住所利用ができるし、三宮の駅からも比較的近いし、打ち合わせに使えたりもするし…「僕も契約します!」って言って今に至ります(笑)

 

−−ありがとうございます!「120でこんなことしてみたいな」と考えていらっしゃることはありますか?

120にいらっしゃる方って、僕と似たようなフリーランスの方とかも多いのかなと思うんですが、そんな方達と防災に関する知識をシェアする会をやってみたいですね。
いざという時に「自助」、つまり自分で自分を守らなくちゃいけないっていう場面が出てくると思うんです。そんなときに自分 1人でもできるBCP(事業継続計画)というか、自分を守っていくためには最低限にこれだけの備えが必要ですとか、そういう防災に関する知恵をシェアできたらなと。「いざという時も今の事業を継続するためにはどうしたらいいだろう」みたいなことを堅苦しくない雰囲気で話しあえたらいいですよね。

 

−−何か大きな災害があったとき「どうしたらいいんだろう?」って立ち止まってしまわないように、何が出来るかとか、どう動いたらいいとか、考えておきたいですよね。

やっぱり実際に起きてから出来ることや考えられることって限られているので、あらかじめある程度決めておくのって大事なんですよ。

あとは120の会員さん同士で、「いざという時、自分にはこれができます!」みたいなことをあらかじめ話しあっておけるといいですよね。災害が起きてから「実はこんなことができるんですけど」って分かってすごく助かったという事例は結構ありますが、前もって知っていたら、最初からそれを頼りに連絡が取れたりできるなと。例えば「水は任せてください」とか。

 

−−いいアイデアですね!ぜひやってみたいなと思いました。
備えといえば…石田さんは日頃からどんな防災グッズを持ち歩いていらっしゃるんですか?

僕はガチなんで(笑) 防災ポーチに日頃使うものが入っているんですが…例えば携帯トイレとか、アルミブランケットとか、火事の時に有毒ガスを吸わないようにする大きい袋とか。

 

Bloom Works

 

−−その袋、初めて見ました。

火事の時、一酸化炭素のガスって 2 回吸い込むともう意識なくして倒れちゃうらしいんですよね。そうなるともう逃げられない。火事になったらとにかく新鮮な空気をこの袋にいっぱい溜めて被って逃げれば 2、3 分ぐらいもつので、なんとか避難できるかなって。

 

−−防災グッズをお家に備えていらっしゃる方は少しずつ増えてきたかもしれませんが、日頃持ち歩く物ってなるとまだまだですよね。

そうなんですよ。意外と外を歩いている時間の方が多いので、そういうのがあるといいんじゃないかなと思いますね。

でも基本はやっぱり備蓄だと思うので、最低限、やっぱり水とトイレは備えておきたいですね。あとは電気。今の時代、バッテリーは必須だと思います。小型のモバイルバッテリーか、できればもうちょっと大型のものを。最近は安く揃えられるので、備えておくといいと思いますよ。

 

Bloom Works 石田裕之

 

 

−−今、石田さんが思い描いている夢はありますか?

これだけ災害があるので防災・減災について意識するようになっている方は増えているとは思うんですが、一方で地域の中で話を聞いたりすると「何をしていいか分かんないし、何もしてないんだよね」って人の方が圧倒的に多かったんです。
普通の人の普通の暮らしの中でという風に考えると、やっぱり学者の人たちが考えるように一筋縄ではいかないよなぁとも思っていて。もっと防災をカルチャーにするための、もっと間口を広く敷居を低くする取り組みが必要になるんだろうなと思っています。

 

−−「防災をカルチャーに」ですか。

はい。もちろん音楽で防災をカルチャーにというのがまず第一ですが、それに限らず、例えば YouTubeやTikTokなども活用していきたいなと考えています。おしゃれな防災グッズを紹介するとか、みんながずっと見ていたくなるようなことを動画で発信したりして、防災のアイコンみたいな存在になるのが夢です。
みんなが困っていることに対して分かりやすくアドバイスしてくれる存在っていうのが多分今防災の世界では少ないというか、ほとんどいないと思うんですよね。ガチな人たちはいっぱいいらっしゃるので、その人たちの知識やアイデアを一般の困ってる人に伝えるための架け橋になれたらいいなと思っています。

 

−−今後の活動でご案内いただけることがあればぜひ教えてください。

ありがとうございます。
10/22(土)と10/23(日) HAT神戸にある「人と防災未来センター」を中心に、日本最大級の防災イベント「ぼうさいこくたい」が開催されるのですが、こちらの企画運営から関わらせていただいています。
今までに繋がりが出来た全国の被災地の方々もお招きし、「神戸は震災後 27年で今こんな感じですけど、東日本は今11年経ってどうですか?」とか「熊本地震は 6年経ってどうですか?」とか、そういう全国の今を共有しあえたらなと。心の復興でいうと似たような課題があると思うので、意見交換できたらいいなと思っています。他にもステージ、ワークショップ、パネルディスカッションなど、内容盛りだくさんですので、ぜひお越しください。
https://bosai-kokutai.jp/2022/

 

Bloom Works 石田裕之

 

あと、僕が関わらせていただいている宮城県石巻市のNPO法人石巻復興支援ネットワーク(通称「やっぺす!」)の創設メンバーの方が9月に本を出版されまして。東北でずっとボランティアの受け皿になってくださっている地元・石巻の「普通のお母さん」たちが歩んできた復興支援の道のりについての生の声が詰まっています。ぜひこちらも読んでいただけると嬉しいです。

 

Bloom Works 石田裕之 やっぺす

(こちらは7階コワーキングスペースの本棚にも並べております。)

 

個人としてもBloom Worksとしてもコンサートやラジオ出演や講演など、さまざまな活動を行なっているので今後もSNSなどから活動をチェックしていただけると嬉しいです!

 

■Bloom Works
【HP】 https://bloom-works.com/
【Twitter】 https://twitter.com/BloomWorks_
【Instagram】    https://www.instagram.com/bloomworksoffcial/
【Facebook】 https://www.facebook.com/BloomWorksOfficial/

 

■石田 裕之さん
【HP】 http://www.insomnia.co.jp/
【Twitter】 https://twitter.com/SimpleLifeMusic

 


私たちとは切っても切り離すことができない、さまざまな災害。
正しく知ること、正しく備えることで救える命がきっとあります。
石田さんの音楽や日々の活動がそんな一つの命を守ることに繋がっているんだろうなと感じました。

まずは私も身の回りの防災グッズの見直しから始めてみようと思います!
みなさんもぜひ一緒に、できることから。