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120 WORKPLACE KOBE

  • 12月05日

イチニーマルなふたり | 岡 恵さん × 和田 圭市さん

イチニーマルなふたり 〜わたしたち120で出会いました〜

 

120 WORKPLACE KOBEを通して素敵なご縁が繋がったお二人にインタビューする新企画『イチニーマルなふたり 〜わたしたち120で出会いました〜』。
記念すべき第1回は、岡 恵さんと和田 圭市さんにお話を伺いました。
毎月恒例の交流イベント『イチニーマルナイト』で出会ったお二人。そんな小さなきっかけが、新たな未来に繋がろうとしています。お二人の間でどんな時間が紡がれたのか、お二人の言葉で語っていただきました。

 

 

岡 恵さん
弁理士法人オフィス大江山  https://o-ip.pro/

「目の前の利害損得に捉われず、人間として正しいことを、ただそれだけです。」
京都府福知山市(旧大江町)生まれ。実家はGI「万願寺甘とう」の生産農家。
ふるさとへの思いを屋号に込めて2019年11月に開業。地域ブランド、農林水産知財に関心が高く、独自取材を行いブログやInstagramで情報発信中。サイドプロジェクトとして、伝統技術×アーティストのコラボ提案、地域の特産品に+αの視点を加えた作品の開発・販売にも取り組む。近畿経済産業局「知財セミナーワークショップ開催事業」にて「地域発食品・お酒の地域ブランディング事例と知財戦略」等の講師を多数担当。

 

和田 圭市さん
Sport / リハビリテーション福祉コンダクター / 理学療法士

「コミュニティを通して、健康的な豊かさを届けたい。」
2005年に理学療法士の資格を取得し、デイサービスや訪問リハなど地域リハビリテーションの分野で予防活動に取り組む。その後、教員として理学療法士を目指す学生たちを指導。地域課題と向き合うため、2022年4月よりフリーの理学療法士として活動を開始。現在は「コミュニティからつながるリハビリテーション」を掲げ、様々な地域における健康増進や未病に対する活動を行う。また、健康やリハビリテーションに関するコラムなども多数執筆。

 


 

-- まず… お二人はなぜ120 WORKPLACE KOBE(以下、120)の会員になってくださったのでしょうか?きっかけを教えてください。

 

岡さん:
独立するタイミングでレンタルオフィスを借りたいなと探し始めた時に120を知りました。立ち上げ準備期間の数ヶ月は120のコワーキングスペースを利用し、その後は一度 大阪でオフィスを立ち上げました。でも半年ぐらい経った頃、コロナ禍が始まった2020年の4月頃に大阪のオフィスを引き上げ、120に移りました。今はコワーキング会員として活用させてもらっています。

 

-- 実際に120に移ってみられていかがでしたか?

 

岡さん:
120は大きな繋がりの場でもあるし、会議室も借りられるし、雰囲気もいい場所だなぁと感じています。例えば、ドリンクも私には大事な要素だったんです。ドリンクバーみたいな感じで自由にどうぞというコワーキングスペースも多い中で、120は心地よい空間を提供するためにドリンクにもこだわっている。空間づくりという面でも他とは全然違うなと思いました。

 

-- ありがとうございます。和田さんはいかがですか?

 

和田さん:
僕はドロップイン会員なのですが、コワーキングを作業場として活用するというより、イベントによく参加するイベント会員みたいな形で利用しています。
というのも、岡さんも言っていたように120を繋がりの場として捉えていまして、そこに一番魅力を感じているんです。これは僕だけかもしれませんが、理学療法士ってめちゃくちゃ世間が狭くて。医療職以外の方との繋がりが少ないというか。

 

-- 確かに、理学療法士の方と日常で出会うことって少ないですよね。

 

和田さん:
そうですよね。今年フリーになったんですが、ひと月経ったくらいの頃、自分には知り合いがいないなっていうのと、仕事をしようと思っても仕事をするきっかけというか策が何もないっていうところに気が付いたんです。協働の時代だなと感じてフリーになったものの、協働相手がいないと。
そこで、コワーキングスペースとかを利用すれば何か繋がりができるんじゃないかなって思ったんです。
せっかくなら海外のIT企業のような開けたオフィスがいいなと思い描いていたのですが、その時にヒットしたのが120でした。ここなら仕事するだけじゃなく、新しい繋がりが生まれるんじゃないかと思って選びました。

 

-- お二人ともキーワードは「繋がりの場」だったんですね。お二人は入会時期もお仕事も違いますが、どんなタイミングで出会われたんでしょうか?

 

和田さん:
きっかけは僕が初めて参加した120のイベント、今年5月のイチニーマルナイトでした。

 

岡さん:
そのイチニーマルナイトの時に私が知財を使ってビジョンやアイデンティティの確立を…といいうお話しをさせてもらったら和田さんが「これや!」みたいな感じで関心を持ってくださったんです。和田さんはiPadを持って来られてて、和田さんが携わっていらっしゃった手すりの動画とかを見せてくれたんですけど、面白かったですね。

https://www.youtube.com/user/mazrocsho/videos

 

 

-- そうだったんですね。そこからいろんなお話を?

 

和田さん:
その後、確か「僕自身、知財のことをやりたいので、何かアドバイスが欲しいです 」っていう形でメールを送って。

 

岡さん:
それから5 回ぐらいのコンサルティングをさせていただきました。
まずは事業計画をお聴きして、本当にそれが和田さんがされたいことだったのかっていうことから始まりました。和田さんの本当の強みといいますか…和田さんの理学療法士という保有資格ではないところを掘り下げていったんです。理学療法士っていうのは和田さんのアイデンティティではなくて、あくまで資格の 1 つに過ぎないんですよね。

「和田さんが本当にされたいことは何?」というところを引き出すのに色々なアプローチをしました。
仕事に対する考え方とか、和田さんのこれまでの半生についてお聴きしたりとか。120でセッションしたり、ご自宅にもお伺いしました。

 

-- 和田さんと共に過去を大きく振り返る時間でもあったわけですね。

 

岡さん:
過去を踏まえて未来がある。でも本当にやりたいことって自分では見えてこなかったりするんです。「それはもしかしてこうなんじゃない?」みたいなことを、私が横で一緒に俯瞰して見ていく感じでセッションを続けました。私は「こうしなさい」「ああしなさい」っていうタイプのコンサルティングではなくて。一緒に対話をしながら探すというか掘り出すというか。

 

和田さん:
そうやって中学校時代からずっと振り返っていって、「予防」「健康」「まちづくり」という原点に立ち戻ることができました。
僕は元々野球をやっていたんですが、その時に肘が痛かったり腰が痛かったりしたんです。その予防をしたいというところからインストラクターの勉強をしはじめて。でも、インストラクターの勉強をしてるうちに健康維持だけじゃなく、もう少し治療側も勉強しなきゃいけないなと思って。そこで改めて理学療法士の勉強をしました。勉強していくと自分がした怪我が分離症とかそういうスポーツ障害だったんだっていうことを知りました。そうやっていろんなことを知っていく中で、理学療法士になった時に「病院で働きたくない、予防がしたい」ってなったんですよね。そういう大事なことをひとつひとつ思い出しました。

 

岡さん:
私もそうなんですけど、皆さん原点が何かあって。やっぱりそれに紐づいていますよね。
それをする動機っていうか根本をみつめると、いろんなきっかけとかこれまでの歴史がありますから。和田さんが理学療法士さんになられたのも「資格でご飯食べていこう」とかじゃなかったでしょう、と。

 

-- 実はもっと深いところに強い想いがあったということですね。今、これらのセッションを振り返ってみて、和田さんにとってどういう時間でしたか?

 

和田さん:
教育の勉強をする中で知ったすごく好きな言葉の 1 つに「省察」っていう言葉があるんです。自分を振り返って考えるっていう意味なんですが。フリーになって本当に焦りばかりだったんですよね。ちょうど何でもいいから藁をも掴もうかなと思ってる時だったんです。でも、そうするとちょっとした瞬間はお金を稼いだりもできると思うんですけど、果たして振り返った時に本当にやりたかったことなのかなとか長く続けることができるのかなっていうところに至ってしまうと思ってて。

岡さんとお話をさせていただいたことで、自分のブランディングがしっかりとできて、これから何をしないといけないのかっていうのがみえてきたというのが、とても大きなことでした。
そもそも自分はまちづくりに興味があって、まちづくりとしてこの地域で何か健康的な活動ができたらっていうのが自分の中では一番望ましいっていうか、希望であるなというのも、改めて認識しました。

 

岡さん:
ブランディングのコンサルってロゴマークを作るとかの形のデザインって所が結構多いと思うんですよ。私はそれってすごく最後のほうの話だと思ってて。私がやるのはそういうデザイナーさんのマネ事ではなくて、本当にやりたいことをもう一度再定義するというようなこと。それってすごく大事だと思うんですよね。心の中の腑に落ち感っていうんでしょうか。今回和田さんと一緒にそこに辿り着けました。

 

 

-- お話を伺っていて、岡さんの「寄り添う力」みたいなものも強く感じます。どんな思いを持って活動されているんでしょうか?

 

岡さん:
私は基本的に目の前の利害損得にとらわれずに、人間として正しいことをやりたいっていう、それだけですね。
この間読んだ本に「今までお世話になっているのに、自分の都合が悪くなったからってお世話になっていた人を急に切ってより安いものを買うっていうのは人として取る道じゃない。」みたいなことが書いてあったんですよ。私、本当にそうだと思ってて。安く仕入れればいいみたいな世界で生きてるわけじゃない。経済の原理って学問上は正しいかもしれないですけど、人間が運用している世界において、その理論でいくと信用を失い、人も失うと思っているんですよ。
逆にいうと、究極は「この人にやってほしい」と思ってもらえるような人にならないといけないなっていうのは常日頃思っています。変な話、見積もりもなく「次もお願いね」って話が来だしたら、最高な関係なんじゃないかなと。お互い信頼があるから、「あの人はいいものを間違いなく提供してくれる」っていう感じ。そういう関係をひとつでも多く作っていきたいなと思ってます。

 

和田さん:
利害損得の話で言うと、理学療法士の世界も同じで。利害損得のような金銭的なことを考えるよりも、もっとその人のことを考えていかないといけないと思っています。

理学療法士ってAI に取って代わられない仕事ランキングの結構上位の方にいるんです。でもそれはあくまで理想論であって、今の若い人たちは何をしているかと言うと、治療方法がわからないからこの疾患にはこの治療方法っていう形で、結局インターネットで検索してやってるわけですよね。それだとその人と向き合ってないじゃないですか、その病気と向き合ってるだけで。それってAIと変わらないですよね。でも、その人にはいろんな人生の背景があって、そこも含めて何か治療を考えるというのが理学療法士の仕事だと思うんです。理学療法士として、患者さんと本当の意味で繋がっていくような関係を作っていかないといけない。そうなると身体機能とかに目を向けるんじゃなくて社会的な参加やその人の役割、いわゆるその人自身に目を向けなければいけないなって。

 

岡さん:
私もそう思います。それが「仕事」ってことだと思うんですよね。作業じゃなくて。

 

和田さん:
最近読んだ本の 1 つに「幸せの定義ってたくさんある。」っていう表現があったんですが、誰かを幸せにすることはできないと思うんです。ただ、豊かにすることはできるのかなと。僕自身、誰かに何か健康的な豊かさを提供できたらなっていう思いが根本にあります。

 

-- 仕事をする上で大事にしたい部分がお二人の中で似通っていたんですね。

 

岡さん:
そうですね。この辺が合わないとお仕事はやっぱり成り立たないというか。

私のもう 1 つの考え方として、私もお客さんも、取り巻く人みんなが栄えるというか、みんなが共にWINしていきたいなっていうのがあるんです。この中で商売して私だけが儲けるということは一切なくって、和田さんが大きく羽ばたいていかれたときに、また一緒にお仕事させていただけたらとか、いろんなお客さんとまた繋がれたらとか、そういう色んな輪ができてくるじゃないですか?
仕事って自分の得だけを考えていると行き詰まると思うんですけど、綺麗事ではなくみんなのことを考える利他の心っていうのを大事にやっていたら自然にそうなる気がするんですよね。

 

-- 最初は小さい輪から始まったところがちょっとずつ大きくなって、みんなで一緒にステップが上がっていく、と。

 

岡さん:
そうですね。まさに今、和田さんと一緒に新しいフィールドに入っていっていますよね。

 

-- 新しいフィールドですか?

 

和田さん:
はい。今 岡さんの提案で1つ、関西のいくつかの市で何かコミュニティができないかな?って模索しているところなんです。
そのうちの1つはもう既にコミュニティができている町で、食だったりいろんなことに取り組んでいるんですけど、健康の分野での豊かさっていうのが何か欠けてるんですよね。
「未病」というキーワードはよく聞くし、「未病」に関する食事や医療分野での取り組みはあるんですけど、なぜかそこに運動が入らない。本当はもっと運動だったり、その人の役割の部分だったりが大事なのかなと思うんですけど。なのでそこの分野で何か構築できないかなと思っていまして。
例えば、町の中に人が集まって運動ができる場所を作って、来てもらったときに何かちょっと不調があれば、その不調な部分は理学療法士としてケアさせてもらって、僕ではできないことはクリニックのほうにお願いするっていうような、クリニックとの架け橋になるような場所作りができないかなと思っています。

 

-- 気軽に足を運んで自分の身体のケアができる、コミュニケーションがはかれる場所ですね。

 

和田さん:
自分が健康じゃないと何もできないじゃないですか?でも健康って不健康にならなければ気づかない部分なんですよね。ただ、肩が凝ってるぐらいだったら放置しちゃうんですよ。でもその積み重ねが関節への負担だったりとか、いわゆる障害疾病といわれるものに繋がって来てしまうんですよね。本当の「未病」っていうのは肩こりが…というくらいの段階からなんとかしなきゃいけないんです。

 

岡さん:
肩こりも侮ったらだめなのね。(笑)

 

和田さん:
治療院だともっと不調になってからじゃないと来ないじゃないですか。
そんな人たちにどうやったら来てもらえるかってなった時に、そういう健康教室的なコミュニティが必要であり大事だと思ってて。まさに「コミュニティからつながるリハビリテーション」ですよね。とにかく人が集まる、集まった先で不調をポロッと愚痴られるような場所。それを何とかどこかの街でやりたいなと思いますが、まだまだ理解はされないですね。

 

岡さん:
でも、今 着実に階段を登られていますよね。

 

和田さん:
ゆっくりゆっくりですけどね。話が進んだらまたご報告します。

 

 

-- さて、120はこれからもいろんな方と繋がることができるプラットフォームでありたいなと思っているのですが、お二人はこれから新しくどんな方と繋がりたいですか?

 

和田さん:
僕は協働・協業に興味のある方と知り合っていきたいなと思っています。新しいものを生もうとしているような方ですね。コミュニティ作りというところでいうとどんな方とも協働できると思うので、職種は限らず、本当にいろんな人と出会いたいです。

あと、僕は教育に携わってきたので、学生さんにもっと利用してもらって、起業したいと考えている学生さんともたくさん知り合いたいなと思っています。
学生さんって無限に可能性がありますし、これからの世の中、企業に就職するより自分で新しいことを立ち上げていく人がもっともっと増えていくと思うんですよね。そういう時に、120に来て色んな職種の人と知り合えば、絶対に新しいヒラメキや新しい化学反応が起こって、新しいものが生まれてくるんじゃないかなと思うんです。ぜひもっと学生の皆さんも120に来て欲しいですね。

 

-- 岡さんはいかがですか?

 

岡さん:
志がある方と繋がりたいなと思います。地域や国を守るとか文化を大切にするとか、目先の損得だけじゃなくて、ちゃんとしたスピリットがある方と一緒にお仕事したいです。

あとは自治体とか、普段あまり関わりがなかった方とも出会いたいですね。普段私たちが繋がる機会が少ない人をお招きするようなイベントを開催してもらって、その中でいろんな人と関わりができたら面白いかなと思っています。

 

-- おふたりのように、たまたま参加したイベントを通して深く繋がることもありますし、120のイベントも出会いの機会として気軽に活用していただけたら嬉しいなと思います。

 

和田さん:
イベントに対して、もっともっとみなさんハードルを下げて気軽に参加してほしいなって思うんですよね。単純に人と繋がりたいとか、自分がやっていることを発信したいとかもそうですが、逆に情報収集の場にもなるじゃないですか?僕はコミュニケーションがとても得意というタイプじゃないので。こういう場があるのはありがたいです。

 

岡さん:
何事も人に会わないと始まらないなって思うので、だから私はとにかく人に会う。その機会の 1 つとしてイベントを活用しています。名刺交換だけの異業種交流会ってたくさんありますけど、120のイベントのように1つのテーブルを囲んで何かワークやトークをする中で伝えられることも伝わってくることもありますよね。たくさんお会いしてもそのあと続く人ってやっぱり一握りになるんですけど、そもそもそういうチャンスは人に会わないことには掴めないので、私はイベントなどの機会も大事にしています。みなさんもぜひ。

 

-- ありがとうございました。