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120 WORKPLACE KOBE

  • 4月18日

コーヒーを通して知ってほしい生産国事情、地域にも貢献するサスティナブルなカフェ

 

現在イチニーマルで提供しているコーヒーのオリジナルブレンドの生産国についてご紹介した記事を前回公開しましたが、
今回 はなんと特別編!そんなスペシャルなコーヒー豆をご用意していただいて、
そしてイチニーマルのカフェ監修もしていただいている
梅谷さんのお店、

栄町にある自家焙煎店ROUND POINT CAFE にお邪魔してお話をお伺いしてきました!

 

梅谷さんは、私達の暮らしに身近な ” コーヒー ” を通して、そのコーヒー豆の生産者(アフリカなどの途上国) に関するさまざまな情報発信や、支援を行いながら、同時に地元に寄り添ったコーヒー屋さんとして 環境事業や、新しい取り組みをされています。

 

今回のインタビューでは、今取り組んでいる活動や、今後取り組んでいきたいことを詳しく、

そしてコーヒーショップを始めた経緯や、アフリカなどの途上国の問題や現状に目を向けるきっかけなどについてお話ししていだだきました。

 


■ どのような事業内容・または活動をされているか教えてください。


 

 

メインでの事業としては自家焙煎のスペシャルティコーヒーショップになります。 ただ、一般的なコーヒー屋さんというだけではなく、コーヒーに関連する他の事業にも広げて活動しています。

 

ひとつはコーヒーを通して、生産国について興味を持ってもらいたいという思いがあったので、生産国についてのフリーペーパーを制作したり、WEBサイト上に様々な情報を載せてみたり、途上国の現状を知ってもらう情報発信をしています。

 

<梅谷さん自作のコーヒーの生産国についての情報をまとめたフリーペーパー>

 

コーヒーに関しては、誰がどのように作っていて、どういった経路を辿ってここまで来ているかちゃんとトレースできる顔の見えるコーヒーを極力仕入れるようにしています。

 

現地の情報を発信する際にも、情報の正確さが重要なので、そのソーシングにも気をつけています。例えばお野菜をスーパーで購入するとき、最近は生産者さんの情報であったり、写真が載っていたり、食材などに関しては、生産者を気にすることは多いと思うのですが、コーヒーはまだそこまでの細かな情報を重要視する方は少なく、国であったり地域、味わいをメインでとらえがちです。
一定の美味しさも重要ですが、そこからプラスアルファで社会的な側面なども含めて意識してもらいたいと思っています。

 


■コーヒーを通して生産者への支援に繋がる活動をしていますが、どのような経緯でカフェ経営になったのですか?


 

 

■ 学生時代で学んだ開発経済。そして就職先は、、、

 

学生時代に開発経済を勉強していて、その時に将来的にアフリカに対する支援ビジネスをしたいという漠然とした考えは持っていました。

 

ただその時点で具体的なビジョンは見えていなかったので、まずは勉強の為に会社員になろうと思い就職しました。

ただ最初の就職のタイミングから4年以内には自分の進みたい道に進もうと考えていたので、仕事をしながら色々読んだり、考えながら組み立てていきました。

 

仕事内容としては、金融機関の企画部に所属していたので、新規ビジネスに携わったり、営業成績をまとめて役員に報告をしたりなど、経営に近い部署だったので、そこで事業を経営するイメージもつきましたし、経営者が何をみていかないといけないかなども養えたかなと思います。

 

仕事も忙しかったのですが、休みの日には自分の進みたい道について考えていて、そこで色々と見ている中で、

オンラインのマイクロファイナンスシステムのK I V A(インターネットを利用して小口融資を募り、それを取りまとめて発展途上国の個人事業主に融資する仕組み)を立ち上げた人の情報を見て興味を持ちました。

 

世の中に必要・課題となっているものと、それを解決できる日本の技術をマッチングさせるような事をしていきたいと思うようになりました。(そういったマッチングなども仕事で経験していたので)

 

■ 仕事をしながら選んだ結論は、、、

 

そこから次に具体的に何をするかと考えた時に、

学生時代にスターバックスでアルバイトをしていたので、

コーヒーに親しみはあり、学んでいた開発経済と合わせて考えることにしました。

 

アフリカや途上国というワードを日本で言うと一歩引いてしまう人も多いんですが、コーヒーの生産国の大半は途上国です。

日本でコーヒーは毎日飲まれていて、日常にあふれていて身近なものですが、実はその生産国は様々な問題や課題を抱えています。それらを伝えるうえでの緩衝剤というか、途上国に興味を持ってもらうキッカケになりうる意義のある商材と考えました。

 

そして、展示会・イベントなどの開催や、現地の問題と日本の技術力をマッチングさせるとなっても、場所があったほうが事例の紹介もできるし、いろんな方との接点を作れる。コーヒーショップの場合だと程よい距離感でお話しもできますし、様々な人とも交流ができると思ってコーヒーショップを始めるに至りました。

 


■生活に寄り添ったコーヒー屋さんとして、エコ事業などの活動もされていますね。


 

コーヒー事業以外だと、ecostore(エコストア)というニュージーランドのデイリーケアブランド(洗剤や、シャンプーなど日常的に生活で使用するもの)を2021年の秋口から店舗で取り扱い始めました。

 

エコストア自体の考え方に興味があったこと、そして私のお店の考え方としても同じ方向を向いているなと思ったのが、取り扱うに至った経緯のひとつなのですが、このブランドが量り売りを積極的に推し進めているところも面白いと思っていて。

 

ここ10年〜15年で詰め替え用のパックなどが一般的になってきていますが、それでもまだまだ詰め替え用のパックのゴミが出ているのが現状です。

量り売りだとそれすら発生しないので、洗剤の量り売りは珍しく画期的だなと思いました。

 

神戸のアパレルショップや、雑貨屋さんでもエコストアの商品を扱っているお店自体はあるのですが、量り売りの販売をしているお店が神戸エリアにはなかったこともあって、お店で取り扱い始めました。導入後エコストアのwebサイトを見て洗剤を購入しに来店される方も増えて、思った以上に需要があり驚きました。

 

<入り口付近で販売しているニュージーランドのデイリーケアブランド “エコストア”>

 

もうひとつ取り組んでいることはコーヒーの豆カスの活用について。

お店をしていると、どうしてもコーヒーの豆カスが出てしまいます。今は燃えるゴミとして処分しているのですが、事業をしている上で商品の処理方法に気を遣う必要があると思っています。

 

海外などを見るとコーヒーの豆カスをエネルギー資源に変えたりと、うまく有効活用されているケースが多いのですが、事業をしている立場から、自分でも何かできる事はないかと考えたところ、まずは取り組みやすいコンポスト(コーヒーの堆肥化)を始める事になりました。神戸大学の農学部の方、関西学院大学の学生の方と去年の2021年の春頃から取り組んでいます。

 

これまでにコーヒーの豆カスをミミズに処理させるミミズコンポストや、有機処理材と豆カスを合わせてつくったコンポスト、そして竹チップなどを加えた竹コンポストを実験的に制作しています。

 

今後堆肥になったものを畑などで実際使用し上手くいけば、神戸エリアのお店から出たコーヒーの豆カスを集めて、できた堆肥を神戸市内の農家さんに使ってもらって、そこでできたお野菜をコーヒーの豆カスを出した店舗などで販売したり、お店のメニューで使うような流れができたら一番綺麗だと考えています。

 

また、オフィスへのコーヒーサービスも頑張っていきたいと考えていて、オフィスで出たコーヒーカスも堆肥化し回収することで、ゴミの出ないオフィスコーヒーサービスができるのではないかと考えています。

 

今まで捨てられていたものをより有効活用できるような流れを広げていきたいと思っています。

 


■コーヒー事業に関しての今後の取り組み・展望について


 

 

コーヒー事業に関しては、去年からお店で直接仕入れ始めたコンゴに関して、より深い関係を築いていきたいと思っています。

これまでバイヤーとしての立ち位置で、コーヒー豆の買付の際に、仕入れ金額に少し料金を上乗せしたものをお支払いしていて、そのお金が、現在5箇所で建築中の女性や子供を対象としたヘルスケアセンターの建設費に当てられています。

 

将来的には、消費者の方がコンゴの豆を購入した際に何パーセントかを、直接生産地の人たちの地域に渡るような具体的な流れを作りたいと思っていて、貢献している実感が湧くようなシステムをつくっていきたいと、生産者の方々ともお話しをしています。

 

そしてもうひとつ、インフラ、そして教育面のリソースがまだまだ整備されていません。またコンゴは飲み水へのアクセスが難しい側面もあり、生活インフラを整備するための資金集めも将来的には展開していきたいなと思っています。

 

 

■ 生産者の人々の様々な可能性を広げる仕組み作り

 

先ほどのお話に出たアメリカのマイクロファイナンスシステムK I V Aはクラウドファンディングの先駆けのようなシステムで、同様な仕組みを構築することで、生産地の人が解決したいこと、始めてみたい新しい取組みなどを資金面技術面でも支援できるように考えていきたいです。

 

それを実現させるためには、システムなども必要なのでハードルは高いのですが、例えばコンゴの組合のAさんが始めてみたい事業を紹介し、支援したい人が集まれば、Aさんはコーヒー生産以外の事業ができるかもしれない。コーヒーをきっかけにその地域との関わりや、協力体制を作っていきたいと考えています。

 

もう少しコーヒーがたどってきた道のりを僕自身が戻りながら、いろんな情報を得たり、現地の人たちが必要としているものを日本に還元し、またそこで協力してくれる方を見つけながら、生産地の問題が解決するような状況への協力ができれば良いなと思っています。

 

 

インタビュー中にも様々な年代、国籍の方が来店されお店が賑わっていましたが、 お店をやっていてよかったことのひとつは『世界中に友達ができたこと』だそうです。

 

普段から海外のニュースや情報などをチェックして、その中で興味があるものや実践できそうなものを取り入れている梅谷さんですが、 お店に来られるお客様との会話から、新しい発見があったり、国によっての価値観などを知るキッカケになったり、 またお店の新しいメニューが誕生することもあるそう。

 

そんな梅谷さんの活動や今後の新しい取り組みが気になる方はぜひ、ROUND POINT CAFEに遊びに行ってみてください。


▼ROUND POINT CAFEのwebサイトはこちらから